「 読切小説 」カテゴリー

前略

 嗚呼、桜の木の下には死體が埋まつてゐる。埋まつてゐなければならないのだ。  僕が其れに気がついたのはつい昨日のことだ。いいや、一昨日

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ふゆのやさい。

生きるとは何のことか ―― 生きるとは、死にかけているようなものを絶えず自分から突き放していくことである。 フリードリヒ・ヴィルヘルム

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拾、おやすみ

 所謂、座敷牢に近い場所。私は籠の中の鳥。男の瞳は淡い鳶色。畳の色に似た哀しい茶色だった。  畳四畳足らずの小さな部屋を行灯の赤くて淡

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玖、代償メランコリ

 従姉妹のお姉さんが死んだ。  夕方から夜の間中、沢山の人が出入りする。私はロビーの長椅子に腰掛けて、鳴らない携帯電話を片手に黙ってそ

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捌、amazing grace

 元々身体は弱い方だった。小さい頃から何回も、入退院を繰返した。それでも小中高校と通い、留年も浪人も経験した後、やっと地元の中流大学にも入っ

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漆、桜殺し

 地球の地軸さえ曲がっていなかったら、世界に四季はなかった。  春が来るたびそう思い、そう思うたびに私は、心底この季節が嫌いだと感じる

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陸、青い放課後

 放課後にある教室の色を、僕のクラスの人間の、一体何人が知っているものだろう。大会目前の運動部が夕暮れの赤と街灯の色に遠く滲んだ声で叫ぶ

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伍、我輩はニートである。

 我輩はニートである。名前はちゃんとある。  西原恭介、今年の七月でついに三十路に入るニートだ。ただニートといっても、先日たまたま

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肆、小細工サマーディ

 あれの正式名称を、一体何といっただろうか。僕はかつて、歩道脇の花壇に花の種を撒く「ボランティア」に参加した事がある。この言い方は、最も

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参、トロイメライ

 金属同士触れる音。あとは鎖があれば完璧。  貰ったばかりの銀の指輪を、冷たい月光に透かしてみてたら、ロマンチストだと笑わ

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