「 読切小説 」カテゴリー

弐、グランドストーカー

 あたしに貴方はいるのだけれど、貴方にあたしはいないらしい。  蹴飛ばされたボールは青空に弧を描き、静かな音を立ててゴールネッ

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壱、幸せ家族計画

「マーマーっ、えいご教室始まっちゃうよー」  廊下の奥から「ハーイ」と、明るいママの声がした。  柚はもう既に靴に履き替え、

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海に抱かれる

 五千円でも安いくらいだわと美里が強引に押し付けてきたCD-R。  データにされた作詞作曲演奏独唱全部美里の歌。  取り敢えずプレイヤー

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背中の向こう側

 保育園の頃、お昼寝の時間というものがあった。  昼食の後に少し遊ぶ時間があって、そのあと午後に二、三時間寝る。  もしかしたら、たった

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金星

三浦加奈子は紙を切る。 数年前、無印良品で210円くらいで買った、鋏一本で紙を切る。 何故、このような事を始めたのか。 確固たる理由を

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あかり

もしもあの時ああだったらとかこうしてたらって思う事は誰にだってあると思う。 そんな事、言い出したらきりがない。 もしも不眠症じゃなかった

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爪切り

「趣味のサイトの為にっていっても、絶対どうかしてる」 私の足の爪を切りながら、麻衣子はほとほと呆れた溜息を吐いた。 「そう。どうかしてる

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インダストリアル

「ねえ、先輩。見て下さいよ、有理さんの耳」 明太冷奴を運びかけた箸が、急に捻じられた首に戸惑った。 「なにこれ、ピアス? 何処にどうつい

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少年と私

平凡な日常を幸せと呼ぶなら、総じて幸せとは退屈なものである。 当たり障りのない服を選び、当たり障りのない言葉を選び、当たり障りのない物を食

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ココアとサツマイモのケーキ

カウンターから見えるマスターの手が、慣れた手つきでココアを作る。 粉にミルクを混ぜながら、少しずつ、少しずつ伸ばして液体にしていく。 蒸

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