十三+十三 平野智志×椎名小夜子

先手:平野智志
後手:椎名小夜子

敷島の今は道にぞなずみせむ小夜千鳥とはよしや聞こゆも

柊も 蘭も名も無き 野の花も 咲きて散りたる 遠き道のり

野を分きて現の風の吹き去れば吾が歩みこそはるかなれども

風雪に縛られたるが大都会東京歩けども迷子

白妙の雪に埋もる鄙の家に世に求むなく夫婦暮らしつ

六花舞い散りてこそ冬氷点下かじかむ右の手が求む先

出しかねて引込めてしや吾が想ひ君とかさねむ手の一つ半

我思ふ故に我あり我思ふ此処に君在り我が左心房

心房の止りたる後静かにて 人類史上最大悲劇

明け方の白けた空の後の青我十有五で静寂を知る

ねぎ青し畠の広きをながむればつと猫の仔ら出でにけるかな

そら青し庭の狭きに微睡み症 猫や猫やい煮干しは要るか

賑はしき浮世を余所と思ふかないと狭き戸の開けつ閉てつに

開いた戸の向こう側から差す光、ユングが君に問い掛ける意味。

意味を読み呑み込み包み笑み和み神々の罪民は嘉せよ

「キリストは身代わりに罪を被る」透けていくひと、新宿西口

待ちかねて来る文を灯に透し見る封を開くも怖れらるかな

待チ人ノ来タラザル日ニ少年少女、青空、しーつ、ないしょのはなし

平然を保ちたきかな朝をゆく少女らの乳房夏は来にけり

遠ざかる洗練された夏の日に燦々と降りそそぐ雨

格率を懐疑し論じ洗練しなお飽かぬなら早く寝ちまえ

彼を知る論ぞ則ち智なるかな 我を知る論ぞ則ち明

むらきもの心知る人訪ふてなに伝ふなく帰り来りぬ

相貌の皺深くして眼光にその情見ゆる老僧を訪ぬ

賤山に庵結びて僧の住む子らと遊ぶもいとけなきかな

深々と降る雪白く波の花淡く儚く手を伸ばす子や

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