2014.09.

紫の空を眺めておりました。薬と夢と嘘の境で。

薄曇り曰わく対にて帰燕せし。寡夫たる烏、鶏鳴に泣く

ひやひやと偲ぶるもまた秋の香か沈殿せしそれ塩化ナトリウム

硝子玉砕けし今日日星月夜散る散る満ちるそしておやすみ

「さよなら」がすんだとうめいだからこそこの臨終をぬけだせない

雨垂れのひとつぶ頬を伝うそれ含めて私だからさよなら

我三度彼に面して臆せども次は逃さぬ農村生まれ

穴惑い行つてしまつた此の部屋はそぞろに寒し、幸か不幸か

星明かり何処かの誰かが祈る頃何処かの誰かよ天に召しませ

褐色の憎悪おひとつとおりゃんせ、あのこじゃわからんころしょうに、蘭

秋寒く月蝕を越えてゆく人の左の薬指を切り捨て、

雲千切れ穿つ雨垂れ十三夜、野を分け分けて居るか太陽

十三の夜越えて未だ待つてゐる心臓の音だけに縋つて

愛賢い噂話を二十五話、満ちても欠けてもそれでお終い。

薄曇り曰わく対にて帰燕せし。寡夫たる烏、鶏鳴に泣く。

ねじきってちぎれた夢が沈んではシーラカンスの住む場所となる

白ら菊を詰めて通いし夜の淵、嗚呼、この先に君はいるのか

名月や、貴女が何をしたという?罪はないもの、罰もないけど。

雷が鈴虫の声を連れてきて軒下に雨粒が沁みてく

天狗こそデング熱へとなるやもと問わまほしきて寝も寝らめやも

是れ兎のみ哀れむか哀れむか寂しくて死ぬ寂しくて死ぬ

我が庵は草木深しといふところ、此れは鈴虫だつただらうか

遠くより友来たりし日、夏の夜、三ツ矢重ねて射抜け泡沫

日曜に言い訳をして夕化粧最初はくちびるにしておねがい

よく焼けた背中を撫でる僕の手にバター・レーズン・ミルクのジャムを

願わくば僕の全てを嘘にして深夜矛盾のオーバードーズ

未だしや空も見えざる夏の日と彷徨い霞いずくにかある

ひとつきの一期一会と言い聞かせ飲み込む嗚咽と君に幸あれ

しろがねの星屑と倶に天の川千夜一夜も水葬にきす

階段と共に数えるイチマルハチ彼に関する趣味嗜好

 

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